2011~2012年にかけて4回バングラデシュで活動しました。もちろん雨水活用で行きましたが、当時はまだSDGsは無く、MDGsの時代で主に貧困対策がメインの頃でした。水問題は貧困にも大きく関わり、この頃既に問題化していました。
10年の時を経て今更ながら振り返り、今やっている雨水活用活動にフィードバックすべく、まとめます。完全に自分の勉強なのですが、よろしければお付き合いを。
SDGs・持続可能な開発目標とは?
だいぶ認知度は上がってきましたが、マダマダ感があるので勉強を兼ねて簡単に説明。
持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。引用元
雨水屋・水道屋としては、やはりここに注力していきます。
まさにバングラデシュでの活動そのものです。活動で感じた事をありのまま記します。
バングラデシュでの雨水活用活動
活動した地域は水道・ガスは無く、電気だけがありました。その電気も度々停電…何の前触れも無く突然、首都ダッカでさえそういう状態でした。ダッカなどの商業施設は自家発電機を装備しているので、無電状態は長く続かなかったですが、田舎では復旧するのを待つのみ…ただ慣れるとこんなものかと、やり過ごせるものです。
水に関しては井戸などの設備が援助団体などにより設置されていきましたが、
共有という事で家から離れていたりして、水の運搬をしなければならないものも多数でした。ここで大問題が起き、井戸水に天然のヒ素が検出されました。活動地域ではないのですが、病気も多発したそうです。そして日常使っている水が、
本当にこの水で、炊事・洗濯・水浴び…このような池は点々と存在します。牛なども入っているのを見て、衛生状態云々以前の問題であると感じざるを得ません。
もともとコンクリートリング雨水タンクの普及活動は行われており、
5t程の容量で通年対応も可能な容量ですが金額も掛かります。すべての水を賄うというより飲用・水浴びなど直接体に関わる水を賄うべく雨水の活用を目指します。活動地域では富裕層は少なく、貧困層が多数を占める地域です。とてもこの雨水タンクを設置する余裕も無く、設置場所の問題も有りました。
設置した方は普通に飲用とし、炊事などにも活用し病気の心配も無くなったと笑顔で語ってくれました。この笑顔を更に増やすべく、ローコスト雨水タンク開発が最大のミッションでした。
タイの技術を使って
もともとモトカという甕が有り水を運んだりしていたのですが、ちょっとの衝撃で壊れ耐久性に問題がありました。材料としてはモルタルですぐ手に入る材料で作られています。
この大きさぐらいが限界のようで、とても通年使用の容量には程遠い。そこで、注目したのがタイジャー、タイで作られているモルタルで作ったジャーです。
タイに赴いて製作現場を見させて頂きました。夫婦でとても息ピッタリで作業されていたのを思い出します。これ1つで900ℓ、通年使用にはやはり足りないですが、これを少しづつ買い足していき容量を増やすことにより、通年使用に耐えられる計画を立てました。
ここでは子供が生まれるとタイジャーを1つ送るそうです。1ジャーで1人分、美しい慣習です。
外見のシャープさ・美しさは本家に劣りますが、半年程度でここまで漕ぎつけた職人には頭が下がります。このジャーの名前を”AMAMIZU”と命名しました。バングラデシュらしい名前も考えましたが、皆我々日本人に敬意を表してくれこの名となりました。
余談ですが、ズの発音はしづらいらしく必ず”アマミジュ”となります…
AMAMIZUで水環境改善を
今までのあてがい型の支援では無く、自立型の支援を心掛け地域で全て行えて、雇用も生み出せるシステム作りに奔走し形になりつつあります。残念ながら10年ほど経って、現状がどうなっているか解らないのですが、プロジェクトリーダーの村瀬誠氏は現在も活動を継続しており、この先もますます楽しみです。
雨水は私も飲んで体は何ともなかったです。(体だけは頑丈です…)池の水を見れば一目瞭然で雨水の透明さは今でも目に焼き付いています。AMAMIZUの接続はなかなか難しく出来る限りの事はやってきたつもりです。
バングラデシュ・日本の国旗の色にしてみました。
この地域は海が近く井戸水もややしょっぱく、重ねて鉄分が多い様で赤っぽい、これ1つをとっても雨水の淡水資源の価値は数倍あります。
東日本大震災の2日後からスタートし、バングラデシュの人々の温かさが何より身に沁みました。こちらのニュースでも流されていて特に、給水所に並ぶ長蛇の列を見て、水道が無い地域にいるのに自分は水に困っていない、ライフラインの限界を見た気がしました。バングラデシュの活動を経て、ライフポイントの重要性を再認識するに至りました。
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